通常の煎茶よりも長く蒸すことで茶葉が柔らかくなり、ビタミンやカテキンなど、健康成分が高まる「深蒸し茶」。湯のみの底に沈殿する粉には、普通では溶け出さない体に良い成分がたっぷり入っています。栄養を豊富に摂れるだけでなくコク深い、濃厚な味わいを楽しめることが特長です。
健康パワーとお茶の秘密(深蒸しの製法について)
深蒸し茶は色が濃く、細かい浮遊物がたくさん含まれているのが特徴です。
この浮遊物を分析してもらったところ、深蒸し茶以外のお茶にはほとんど含まれない成分が見つかりました。βカロテン、ビタミンE、クロロフィルなどが主な成分です。
βカロテンには抗酸化作用、ビタミンEには血行促進作用や免疫機能改善効果、クロロフィルには腸内環境を整える働きがあると言われています。
1950年代、掛川のお茶畑は、なだらかな丘にあり、日差しをたっぷりと浴びるため、カテキンを多く含むのですが、このカテキンにより、渋いお茶になってしまうことが悩みの種でした。
この渋みを和らげ、飲みやすくするために、長く蒸す「深蒸し」と呼ばれる製法があみ出されていきました。
長時間蒸すことで茶葉の組織が壊され、様々な成分が出やすくなります。渋み成分であるカテキンと、細胞のかけらがくっつきあうことで、渋みを感じにくく、飲みやすいお茶となり、現在では深蒸し茶が全国的にも広く浸透しています。
静岡県掛川市は人口10万人以上の市区町村の中で、がんによる死亡率が日本一低く、高齢者の医療費も全国平均と比べて20パーセント以上も低い、驚きの町と言われています。
その秘密の鍵を握っていたのが掛川市民が一般的に毎日飲んでいる、「深蒸し茶」にあると、地元病院や大学、国の研究機関などが行う調査から、これまでの常識を超える緑茶の超健康パワーが次々と判明しました。
人口10万人以上の市や区のがん死亡率ランキングを見てみると、
がんの死亡率が低い町には、同じ特徴を持つ町が多いことがわかりました。
【お茶飲んでお得に長寿!】
健康とお茶の関係に目をつけた、健康とお茶の関係に目をつけた、鮫島庸一先生(2013 年3 月当時掛川市立総合病院副院長)によると、掛川市は静岡県の平均と比べて、心疾患で亡くなる方が15 パーセントほど、脳血管疾患で亡くなる方が30%近く低いそうです。治療が長期化するこれらの生活習慣病が少ないということは、医療費がかからないということでもあるんです。鮫島先生が注目したのは、「長寿獲得コスト」という概念。「長寿を得るためにかかる費用を比べるための指数」で、一人当たりの年間老人医療費を、男女の平均寿命を足した数字で割ることで求められます。病気にかからず、健康で長生きしているお年寄りが多いほど長寿獲得コストは低くなります。
掛川市の長寿獲得コストは、全国平均を1とした場合、0.75 と圧倒的に低いことがわかりました。仮に、日本全体の長寿獲得コストが、掛川市程度まで下がると3兆円もの国家予算が削減できる計算になります。その掛川の健康長寿を支えているものが、日本人におなじみのお茶だそうです。